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あなたの名前はしずく
名前はしずく。
6月初旬の雨の日、しずくはまるで落ちてるかのようにうずくまっていた。
「あの黒い塊は何?」
お母ちゃんとそう言い合った。

抱き上げると、しずくはプルプルと震えていた。
6月と言えど、この雨の中、
お腹もすいているし、
寒かったんだろう。
私はその黒い塊を持ち上げた。
まるで、今日の雨の雫の様だ。
この小さくても、必死に生きようとする姿に
切ない気持ちが込み上げてきた。
「この子の名前はしずく。」
早くお家に帰ろうね。
お風呂を怖がらないしずく
不思議にもしずくはお風呂を怖がらない。
のみとりも嫌がらない。
むしろ喜んでいるかのように
ゴロゴロと喉をならしている。
それからミルクを飲ませる。
50㏄の注射器だ。
3杯も飲んでくれた。

しずくは下唇が最初から欠損している。
本人は気にしていない様子。
家に来て、3日もしたら、
ぐったりしている様子だったのが、
みるみる活発になっていった。
to be continued
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